とまらぬ亀の轍

何をするにも鈍間な筆者が、歩み続ける足跡を綴っていきます。

医学部は才能の墓場

こんにちは。久しぶりにブログを書きます。

最近、題に書いている様な事をツイートした所、思いのほかバズってしまいました。

そのツイート

 

 

ツイッターだけに文字数の問題もあり、かなり省略した形での文章にしてしまったので、真意が伝わらなかった事もあってかなりの量の批判的なコメントも頂きましたが、正直とても参考になりました。コメントをくださった方々、本当にありがとうございました。

 

今回のツイートに関し、ある医療系サイトから取材を受けましたので、その取材に対する回答をこちらに貼っておきます。私の頭の中にあるアイデアの一部に過ぎませんが、Twitterで書いたものよりは詳細に書いてあります。唯、自分のアイデアに対する、経済的、法的妥当性に関する検証は全く行っておらず、そういった質問はご回答できません事をご了承ください。

 

以下、取材のコピーです。

①「医学部は才能の墓場」とお考えになられたのはなぜでしょうか?
   具体的なエピソードなどもございましたら合わせてご教示ください
まず初めに、今回のツイートでは医学部と書きましたが、私がイメージしているのは国公立大学医学部、特に旧帝大医学部である事をご了承下さい。現在、受験戦争の頂点に位置する国公立医学部特に旧帝大医学部に合格する為には、記憶力勝負の問題の点数だけで無く数学や物理などの論理力や発想力、閃きを要求する理系科目で他者を圧倒する高い点数をとる能力が必要です。この傾向は東大理系の受験問題に特に顕著です。すると必然的に、これらの医学部には数学や物理の突出した才能を持った人が多くなります。一方、今の医療を鑑みると、種々の検査や画像診断、遺伝子診断の発達により、正確に暗記する記憶力は要求されるものの数学や物理の才能は殆ど求められません。今後AIなどが発達すればその傾向はより強くなるでしょう。端的に言えば、医学部受験で要求される能力と医療で要求される能力に隔たりがあり、それがどんどん大きくなっています。このままでは、多くの数学や物理の才能が医療の中に埋もれて生かされないまま消えて行く事になります。まさに才能の墓場です。
②医療に必要のない才能とは例えばどのようなものでしょうか?
 身近な事例や、「この才能はこういう場なら活かせるのでは?」など
 アイデアがありましたらご教示ください。
上記の通り、数学や物理の才能です。この様な才能は、数学や物理の研究者はもちろんのこと、企業の開発研究者、コンピューターサイエンスの研究者、プログラマー等色々な職業で活かされるはずです。医師になった後にその道に進むのもいいかもしれませんが、これらの競争社会は熾烈と聞いていますので、いったん20代前後の一番重要な時期に才能を磨く競争から離れたら、20代後半以降から参戦してもなかなか才能を花開かせるのは難しいのではないでしょうか。若いうちから競争に晒されて、その才能を磨いていく方がいいと考えます。
③医学部が、才能の墓場から脱するために必要なことは何でしょう?
 大学院にする、大学で人生を見つめるなどのアイデアを投稿されていますが
 補足説明がございましたらいただけますと嬉しいです。
昨今、予備校や中高一貫私立校等の大学受験産業がブランド力強化のため偏差値が高くてやりたい事がないなら医学部を勧めるという風潮が顕著になり、有名私立高校には理系の八割近くが医学部受験をするという所も存在すると聞きます。医学部受験が受験産業に巻き込まれている限り、この傾向は変わらないと思います。しかし、医学部を大学院(メッドスクール)にすれば、医学部に貼り付けられた大学受験戦争の勝者という勲章を引き剥がし大学受験産業から隔離する事ができます。さらに、子供達が一般の大学に入り一旦大学受験産業や親の呪縛から離れば本当は将来何をしたいのか自分の頭で考える時間ができる筈です。そして、大学に一般学生向けの解剖学や生理学、生化学、免疫学、薬理学あたりを開講しその単位をとる事をメッドスクール受験の必須とすれば、基礎医学がどんなものかを知る事ができますし、受験までに市中野戦病院の研修医、大学病院の助教、訪問医療の医師のシャドウイングをそれぞれ一週間ずつする事を義務付け現状の医療問題に関する小論文でも課せば、現状の医療がどんなものなのかも理解できるはずです。そして選抜試験科目も、大学で学んだ基礎医学に関する問題を中心にし、シャドーイングで感じた医療問題に関する小論文や医師としての将来像に関する小論文、コミュニケーション能力等を総合的客観的に判断するものにすれば、医療に適性を持った人を選べる様になるでしょう。そうすれば、数学や物理の突出した才能を持った人たちの興味をより適性のある職業へと向けられ、才能の浪費を少なくできる筈です。ただ、この案は片手落ちで、基礎医学研究をする医師をどう養成するかという問題があります。なので、私は今の定員の80%はメッドスクール4年で国試受験とし、20%は従来通りの高校卒業の資格で基礎医学研究者養成を目指した医学部入学ができる様にし、学生時代に基礎医学研究や論文執筆をさせ8年でMD&PhDを取るというMD・PhDコースにするのがいいと思っています。現在、諸々の理由で旧帝大でも基礎医学をする医師がどんどん減っていると聞いています。20%であっても徹底的に医学研究者としての教育を施しその半分でも基礎研究に進んでくれれば、今のままより基礎医学研究者は増えると思っています。今のままでは外国発の高価な薬や医療機器ばかりとなり、医療費を圧迫して国民皆保険が崩壊してしまう危惧があります。日本初の薬の発明や医学の革新的進歩を増やしていくことも大きな課題だと考えます。
④倉橋先生御自身は、
 どのような志で医学部を、また医師を目指したのでしょうか? 私は叔父が医師であったこともあり、医学と医療両方を勉強し実践する事に興味があって医師を目指しました。
 若き日のご自身の選択について、どのようにお感じになりますか? 日本で医療に携わっていた時もやりがいを持ってやれていましたし、米国で基礎医学研究者になった後も研究を楽しめていますので、自分の選択は間違っていなかったと思っています。
 
⑤現在のキャリアへの満足度、またその理由をご教示ください。
自分は研究開始が遅かったこともあり研究者としては未熟ですが、11年医療に携わっていた事を上手く活かして自分独自の領域を開拓していければいいと考えています。その為に、医療と研究の両方ができる米国のPhysician scientistを目指しているのですが未だ道半ばで、なれるかどうかも怪しい状況です。ですので、自分のキャリアにはまだまだ満足していません。早く目的の土俵に上がりたいと考えていますが、もし私の努力と才能が足らず、諸々の環境が許さなければ、また別のキャリアを模索して行くかもしれません。一生勉強、一生青春(相田みつを)だと思っています。