とまらぬ亀の轍

何をするにも鈍間な筆者が、歩み続ける足跡を綴っていきます。

家庭医が新規患者を受け付けない?

50歳も過ぎたのでそろそろいざという時の為にかかりつけ医を持っておこうと思い予約しようとした所、「現在家庭医は新規患者を受け付けておりません。」というパワーワードを頂きました。と言うわけでかかりつけPhysician assistant(日本語対訳が思いつかない。)を持つ事になりました。

 

一体どう言う事なのか?

 

米国の医療に関わった事がない日本の皆さんには意味が分からないかと思いますので解説させて頂きます。

 

米国の外来診療はざっくり分けて緊急対応する部門と予約診療する部門に大きく分けられます。緊急対応する部門はさらにUrgent careとEmergency departmentに分けられるわけですが、ここでは細かい所は割愛します。予約診療する部門はさらにかかりつけ医、つまりPrimary care provider (PCP)とSpecialistに分けられます。

米国の外来診療の立て付けとして、定期的にPCPに診てもらい何かPCPでは手に負えない専門的な診察が必要な問題が生じた場合、Specialistにコンサルトし、Specialistが診察をした後その指示に従って長期の投薬等に関してPCPが管理していくという形になっています。つまりSpecialistはコンサルト業務や専門業務を行い、PCPはSpecialistの指示を受けつつその患者さんの全身の健康管理を行なってくれるマネージャー的は存在になります。

 

このPCP業務を行う人々は、Familial medicineを専門とする家庭医だけでは無く、Physician assistant(PA)といって医師の監督の元に診療を行う専門職や、Nurse prectitioner(NP)といってPAと比較してより独立して診療を行える専門職の方々がいらっしゃいます。州による違いは色々ありますが一般的にPCPとしてできる事の範囲が、MD>NP>PAとなります。つまり、MDならPCPとして診察から治療までしてもらえる疾患をNPやPAだとSpecialsitにコンサルトされる事になり、時間とお金がかかるという状況が生じてくる可能性があります。もちろんこれはNPやPAの能力に依存する事で、能力の高いNPやPAも沢山いらっしゃりあくまで全体としてのお話です。実際私は、胃酸を抑制する薬であるプロトンポンプインヒビターという薬局で自由に買えるお薬をPCPが処方してくれないという理由で私が処方しているという患者さんを複数抱えていますが、こういう場合PCPはNPやPAです。

 

漸く本題に入りますが、PCPも当然の事ながら予約制です。なので田舎でPCPの数が限られているとMDの予約枠から順に埋まっていき、NPだったりPAにPCPをお頼みするという状況に陥ります。今私が住んでいる地域がまさにそういう状況で、私はMDの予約を取れずPAにPCPをお願いしたという話です。

 

米国では予約診療を行うPCPやSpecialistは基本予約外を全く受け付けませんので、予約枠が埋まってしまばもう新規の患者を受け付けません。

 

ピアノの先生と同じですね。