とまらぬ亀の轍

何をするにも鈍間な筆者が、歩み続ける足跡を綴っていきます。

米国消化器内科は人手不足。何故か?

私の印象として米国で消化器内科医が足りない理由は、
1. 内視鏡デバイスの開発で内視鏡でできる事が格段に増えた。
2. 政府が45歳から内視鏡による大腸癌スクリーニングを保険会社の負担で患者に対して無料にしたため、全国民が大腸内視鏡を受けるようになった。
3. 内視鏡検査は質の担保が難しく、やればやるほど病院が儲かる仕組みなので、どの病院もこぞって消化器内視鏡医を増やそうと躍起になっている。
4. 一方米国はどの科もなりたい人がなれる訳ではなく、人数が制限されたフェローシップを勝ち取ってトレーニングを受け専門医の資格を取らなければその科の医師になれない。
5. 上記1-3の流れが読めず、フェローシップの枠の拡大が遅れているのと、そもそも質を担保するために簡単には増やせない。指導も大変なので。
6. 結果として、給料が高騰し引き抜き合戦が起こり、教育、研究、臨床を担う大学は給料を増やせない為、アカデミアの消化器内科医が人数不足で苦しむ事になっている。
という構造であると考えています。
 
では、日本人の内視鏡医が簡単にスタッフとして入り込めるかと言うと、そうはなっていません。
理由は、
1. 大学である以上アカデミアの実績を求める。
2. いきなりスタッフとして入る以上、独立して最新の診療を行える能力とFellowを指導する能力が求められる。
3. 米国の就労ビザをとる上で、米国人にはない能力を求められる。
4. 米国は何よりコネクションによる信頼性を重視するので、何処の馬の骨ともわからない日本人がいきなり応募しても、書類を読んでさえ貰えない。
 
実際、弊大学も人が足りなくて困っているものの、海外から就活をしてもほぼほぼ無視されます。
ただ現在は私を含め日本人が3人いますので、内部の人間である私から強烈にプッシュすることで、書類に目を通してもらい審査の土俵に乗るまでアシストすることが可能という話です。土俵に乗った後の大学の審査まで関与することはできませんので、そこから先は業績と本人次第という事になります。
実際に今働いている方の一人は私が強烈にアシストすることで、審査の土俵に乗り、見事にポジションを勝ち取りましたし、私も、以前から働いている日本人医師が私の部活の後輩だった為、審査の土俵に上げてもらう事ができ、結果として今のポジションを勝ち取りました。
 
日本の大学で講師や准教授をしている事と米国に来て0から再出発する事を天秤に掛けると、どちらがその方の人生にとって良いのかは人それぞれだと思います。
ただ、たった一度きりの人生ですので、挑戦する事で多くの経験を積んで人生を豊かで面白いものにするのも良いんじゃないかなと個人的には思っています。
もしも挑戦したい方がいらっしゃいましたらDMを頂ければと思います。